(2)ジェナシスのライブラリ技術;図2
ディスプレイ技術を用いて機能ペプチドを取得するためにはライブラリの設計が非常に重要です。ジェナシスはランダムペプチドから構成される non-scaffold ライブラリと天然のタンパク質の構造を利用した scaffold ライブラリの開発に成功しました。
Non-scaffold ライブラリは図2Aに示したようにN末端側のCys残基から始まるランダムなアミノ酸から構成されるライブラリです。このライブラリは全長が 35 アミノ酸で構成されるためサイズが小さく、取得されたペプチドは化学合成が可能です。また、このことにより医薬品に向けた種々の化学修飾が可能です。
ジェナシスは産業技術総合研究所との共同研究により、ヘビ毒の一種から特徴的な構造を持つ scaffold ライブラリの開発に成功しました(図2B)。このヘビ毒は 3 本の指のような形をしているため Three-finger (3F) と称されます。我々は構造解析による知見を基に、指の先のアミノ酸をランダム化したライブラリを作製しました。3F ライブラリは 4 つのジスルフィド結合を有しているため、非常に強固な構造をとり、熱安定性やプロテアーゼ耐性が高いといった利点があります。
ジェナシスではこれらのライブラリと cDNA ディスプレイ法を用いて、標的タンパク質に対して抗体並みの親和性を有するペプチドの取得に成功しました。これらのペプチドは標的タンパク質に対してアゴニスト、アンタゴニストの活性を示すため、今後創薬のリードペプチド候補となることが期待されます。 |